報道VEから見たBreakingNews

報道VEから見たBreakingNews

みなさんこんにちは。
放送技術本部 報道・スタジオ技術グループ入社5年目の増永芹奈です。

私は普段日テレ報道スタジオのVEとして働いており、日テレNEWS24というCSやインターネットなどで最新のニュースを24時間放送・配信している番組を担当しています。
日テレNEWS24については過去のブログで詳しく説明されているのでそちらをご覧ください。


日テレNEWS24ではスポーツ番組(CS放送のみ)やニュース番組を24時間放送していますが、災害や大規模な事故、政治的な動きや社会に影響がある関心事などが発生すると、番組に割り込んですぐにニュース速報を始めます。
このことをBreaking Newsと言います。
24時間365日いつニュースが発生してもBreakingNewsを始める体制が日テレNEWS24では整っており、
今回はその際のVE業務についてご紹介したいと思います。

<VEとは>
まず皆さんVEとはどのような仕事をしているかご存じでしょうか?
VEとはビデオエンジニアの略で、スタジオカメラやお天気カメラなどの色味や明るさ調整、
番組の放送や収録のためのシステム構築などを行っています。
音声が音の責任者だとすればVEは映像品質の責任者です。




VEについて説明しましたが、BreakingNews時にVEが行う重要な仕事の一つが
リモートへの回線割り付けです!


<リモートとは>
リモートと聞くとリモート会議を思いつくと思います。実際にリモートの意味を調べると「遠隔」という意味で今回お話するリモートにも「遠隔地にある映像を扱う」という意味を持っています。
まず日テレにはSDCSOCという回線管理の部署があります。


ここには国内外のいたるところから伝送されてくる様々な種類、そして膨大な数の回線があります。
それら全てをサブコンのシステムに取り入れ放送出来るよう整えるのは物理的にも難しいです。
そのためリモートというを用意し、SDCなどが管理している回線という素材を割り付けて選択した映像だけを見ることが出来るシステムを構築しています。



リモートの数はサブコンによって異なり、日テレNEWS24サブではリモート10まであるため10個の素材の割り付けが可能です。
ただ割り当てが既に決まっているリモートもあり、実際に使えるリモートの数は10よりは少ないです。
制作と技術両方の意図や要望をすくいとり、直ぐに割り付けを変えることが求められるので冷静かつ迅速にということを心がけています。

リモートの割り付けは回線切替端末というものを使用して割り付けるのですが、200個以上の回線が回線の種類ごとに10個のタブに分けられています。
回線名を打ち込んで検索して探し出すことも出来ますが、回線が入っている場所を覚えて割り付けたほうが早いのでどこのタブにどの回線が入っているかは大体覚えています。





簡素化していますが上のイラストのようなモニターがサブコンには沢山並んでおり、モニターの上にはリモート番号や回線名などを表示出来るようになっています。
回線名だけでは映っている映像の用途や場所が一致しておらず、手動で名称変更を行い分かりやすくするのもVEの仕事です。
ただ災害時や会見が重なり、リモートが混雑していて名称変更を行う暇もない時は下のように制作とやりとりする場合もあるので、リモートにいれている素材の把握や整理が必須です。


<お天気カメラ>
お天気カメラとは、ビルの上などに設置され街の様子や空模様などを映している定点カメラのことです。
これらはサブコンにあるリモコンで画角や明るさを操作することが出来ます。
ライブカメラや情報カメラとも呼ばれますが、普段は「天カメ」と省略して呼んでいます。この天カメはリモートに割り付けることができます。

リモートに天カメを割り付けた後にVEが行う仕事は、この天カメの調整です。
災害時のBreaking Newsでは天カメを使用することが多く、その災害内容や時間帯によって明るさや色味を調整して、制作の意図もくみ取りながら視覚からより情報を伝えやすくしています。




夕方ならオレンジっぽく夏なら少し明るくしたり、季節によって日の出や日没の時間の違いなども意識しながら細かに調整しています。

大変だと感じるのは、他の仕事と並行してやらなければいけないことです。
リモートの割り付けの指示や、更新される情報を聞き洩らさないように注意を向けながら調整します。 特に朝焼けの時間は2~3分で色味が変化していくので油断できません。
監視もVEの仕事なので、OAしている映像はもちろん、文字スーパーやリモート、回線の状況や人物の唇の動きと音が同期しているかなど、気にしなければいけないことが多く、優先順位をつけ一つ一つ丁寧に対処していくよう心掛けています。

ちなみに…
天カメを操作出来るのは1つのサブコンだけです。もし同じ天カメを複数のサブコンで使いたい場合は、制作間で使用時間帯を協議してもらっています。
また自サブでの操作が相手サブへ影響を与える可能性もありますし逆の場合もあるので、操作権の有無に関わらずどんな時でも天カメは注視しています。

<最後に>
生放送では同じシチュエーションは発生しないので、日頃から想定や訓練を繰り返し、いざという時に迅速に対応しながら伝えられた時は、報道でのやりがいを感じます。
VEについては他にもカメラの調整や映像システムの取り込みなど、このブログだけでは語りきれないぐらい多岐にわたります。
このブログを読んで報道の現場やVEの仕事について興味を持っていただけたら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

Text by
放送技術本部
報道・スタジオ技術グループ増永 芹奈