『プロンプ』って、なに?
『プロンプ』って、なに?
みなさんこんにちは。
放送技術本部 報道スタジオ・技術グループ 岡田 です。
何をテーマとして取り上げようかと少々悩みつつ、、、
報道スタジオにしか無いもの?
報道スタジオ独特なものってなんだろう???
・・・というところからお題を決めてみました。
今回取り上げさせていただくのは
『原稿表示装置』である『プロンプター』です。
以降は、現場的呼び方『プロンプ』でお話を進めさせていただきます。
どうぞよろしくお願い致します。
『何のために用いているものなの?』
番組に出演される演者、主にアナウンサー・キャスターの方々が伝えるべき原稿を画面に表示し補助するための装置・システムにあたり、
簡単に言うならばカンニングペーパー的役割のものです。
『どのような仕組みなの?』
『ハーフミラー』※という特殊なミラーを、実際に使われているカメラのレンズ部分を覆い、そのミラーと向かい合うように真下の位置に受け皿のようにしてモニターを取り付ける形で設置。
1台のカメラに対して、ミラーとモニターを1セットで取り付けています。
※ハーフミラーとは
鏡の機能を持ちながら向こう側も少し透けて見えるもの。
カメラのレンズの機能を邪魔することなく原稿を映し出すことが出来るように作られたものです。
『どのようにして使っているの?』
仕様に関しましては、各局必ずしも一緒ではないかと思われますので『日本テレビの報道スタジオでは…』という括りで説明をさせていただきます。
①プロンプテーブルと呼ばれるテーブルの元へ原稿を設置します。
②テーブル上部にはカメラが取り付けられており、このカメラで大事な原稿を映し出します。
③映し出された原稿は、カメラに取り付けられたモニターに左右反対の状態で
映し出されます。(原稿だけでなく、OA等を表示させることも可能です。)
④その映し出された原稿はモニターと向かい合って取り付けられたハーフミラーに
反射させることで、演者さんの真正面に映し出されるという仕組みになっています。
『プロンプ』ではなく『プロンプさん』!!
プロンプさんと呼ばれるスタッフは、番組担当者が作成した原稿を、紙に書き写し、
プロンプに表示させる役割を持っています。
(今はタブレット画面を表示させることも可能で、この作業もプロンプさんが行います)
短い原稿や一言ワードのようなものは予め決められた位置に原稿を設置することで
演者さんの元へ映し出され問題なく進行出来るのですが、プロンプ画面の表示範囲に収まらないものに関しては
プロンプさんの手助けによる作業を伴い、演者さんの読みのスピードに合わせて原稿をスライドさせることで
全ての原稿が読めるよう調整しています。
ほぼほぼの原稿はスライドさせることで読み取れている現状ですので、
プロンプさんなくしては成り立たないシステムとも言えます。
原稿のスライド作業の事を見込んだ上で、プロンプテーブルの原稿設置場所は、
ローラーがスライドして動く仕組みで作成されています。
※回転寿司屋さんの回転ローラーが動いている感じを思い浮かべていただければ、わかりやすいイメージかと思います。
『プロンプのメリットは?』
①原稿に目を落として確認することなく、顔を上げたまま話すことが出来る。カメラ目線を持続することが可能であること。
②顔を上げたままカメラ目線をキープすることで、テレビ画面を通して観てくれている視聴者のみなさんと
目が合ったままお話をしている感じになり、内容が入っていきやすくなるという効果が見込まれる。
③内容を正確に伝えることが出来る。
④キャスターさんが原稿のどの部分を読んでいるか?
内容の読み間違いがないか?などをスタッフ間で共有出来る。
⑤内容が直前で変わっても、原稿を手直しして表示することにより
素早く正確な内容を伝えることが出来る。
『まとめ』
プロンプというシステムは非常に便利なものだと思います。原稿が出来上がっていれば、それを台に乗せて画面に表示するだけ。
ですが、そこに至るまでの準備・番組開始までの貴重な時間で数多くの原稿を正確に書き上げておく、
手直しをする、タイミングを合わせる、ということが必要になってきます。
結局のところ、いくら便利になったとしても最終的に人力を伴うということは、
いつの時代も変わらずということです。
『便利と不便は背中合わせ。』
便利な機材と人の力をうまく共存させていきながら、良い番組作りに結びつけば。
・・・ということで、
今回はこの辺りでお開きにさせていただければと思います。
ありがとうございました。
Text by
放送技術本部
報道・スタジオ技術グループ岡田 裕